清浄華院の文化財

国宝 四明普悦筆絹本著色『阿弥陀三尊像』



四明普悦筆・絹本著色『阿弥陀三尊像』(転載禁止)

 数少ない現存する中国南宋仏画の中でも白眉とされる作品。身にまとう衣の筆線や、おぼろげな光背の表現など、独特の魅力に満ちています。絵そのものの魅力もさることながら、東アジア圏の仏教文化に大きな影響を与えた中国寧波(にんぽー)から輸入されたもので、仏教を通した東アジアの文化交流を考える上でも貴重な作品です。

 こうした意義が認められ、平成24年4月20日に重要文化財より国宝に昇格することが内定しました。

 『君台左右帳記』などの史料によれば、この作品は室町将軍家が所蔵していたものと見ることができ、本山が隆盛を迎えた室町時代に将軍家から寄進されたと考えられています。本山にとっては『鎮西一流正脈之寺(浄土宗鎮西派の総本山)』とまで仰がれた栄華の時代を偲ぶ宝物としてなっています。
 

※普段は国立博物館に寄託しており、拝観は出来ません。

重要文化財 伝宅間法眼筆紙本著色『泣不動縁起』絵巻



伝宅間法眼筆紙本著色『泣不動縁起』絵巻(転載禁止)

 師匠の病の身代わりとなった弟子を助け、その利益の証として仏画の姿に涙の跡があったという「泣不動」の説話を描いた絵巻物。
 
 この説話は中世大変有名であったようで、さまざまな説話集などに登場し、絵巻としても描かれました。泣不動縁起絵巻には鎌倉時代の東京国立博物館本、南北朝時代の逸翁美術館本、室町時代の奈良国立博物館本などの数本が現存し、数多く制作されたことが推測されます。清浄華院本も色彩鮮やかな室町時代の作品として、重要文化財に指定されています。
 
 説話に登場する不動尊の仏画(泣不動尊像)が本山に所蔵されているために寄進されたもので、江戸時代初期は狩野永納珍蔵の品でした。初めは後水尾天皇の命で制作された模写本が霊元天皇の時代に本山に寄進され、その後重文本も入江孝治なる人物(未詳)より寄進されることになりました。本山の秘仏・泣不動尊像の縁起を語る絵巻物として什宝の随一となっています。
また、陰陽師・安倍晴明の活躍を描く絵巻物としてもよく知られています。
 

※普段は国立博物館に寄託しており、拝観は出来ません。

 
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